七度文庫開発日記 七度文庫人妻編のリリース
七度文庫は一応は賞をとったものの、雑誌テックウィンに一度収録されただけで、その後エンターブレイン社からはなんの連絡もなかった。
私はなんとか七度文庫を商品化するところまで仕上げたかったが、ゲームコンテストで伊集院光賞を獲っただけですぐ商品化という事にはならないのだと判って私はがっかりした気持ちだった。
商品化への道筋をあれこれ思案していて、私はやっかいな問題に気が付いた。コンテスト受賞の際の契約で、商品化権はエンターブレイン社が独占的に取得することになっている。
これはエンターブレイン社が商品化してくれれば、たしかにありがたい事なのだが、エンターブレイン社が商品化しなければ、永久に商品化はできずに埋もれたままになってしまうということなのだ。
12年間の苦労の末やっと完成したソフトが、このまま日の目を見ずに埋もれてしまうのではかなわない。
商品化のためにはもっと七度文庫をアピールしないといけない、そのためには七度文庫のバージョンアップをしてより完成度を高める必要があると思った。
だがバージョンアップ版についても権利はエンターブレイン社が保有しているため自由に配布はできない。
そこで私は七度文庫の別バージョンを作ろうと思いついた。
もちろん官能小説の自動生成というアイデアはいっしょだが、シナリオを新規に作れば別のゲームということになる。
もしもアイデアが同じなら、同じゲームだから、シナリオが違っても商品化権はエンターブレインが独占するということになれば、ロールプレイングゲームはシナリオが違っても全部同じゲームということになる。
また同じゲーム作成ツールで作ったゲームはシナリオが違っても全部同じゲームということになる。
だれもそんな主張はもっともだとは思わないだろう。
しかし実際の所作業を始めるのは気が重かった。
12年かかって作ったソフトを、シナリオだけとはいえもう一度全部作り直すのだ。
プログラムはもう出来上がっているので、シナリオを書くだけなのだがそれでも大変な作業だ。
いままでの苦労を思うと、簡単にできる作業ではない。
しかし今のままでは永久に七度文庫は商品として日の目を見ることはない。
私は2002年11月の終わりに、重い腰を上げて作業に取りかかる事にした。
完成予定のシナリオのバイト数は600キロバイトが目標だった。
これは伊集院光賞を受賞したオリジナルの制限版とほぼ同じサイズだ。
400字詰め原稿用紙換算で850枚程度と、とんでもない量だ。
原稿用紙に40枚~50枚程度なら短期間に集中して仕上げることもできるが、これだけ量が多くなると、マラソンを走ってるようなもので、毎日少しづつ同じペースで根気よく書いていかないととても終わらない。
一日に原稿用紙10枚程度を書くのが精一杯だ。
最初に立てた予定では、シナリオ作成に3ヶ月から4ヶ月程度の作業量だった。
ともかく覚悟を決めてやるしかないと自分に言い聞かせて、私は気の遠くなる作業に取りかかった。
新しく購入したパソコンが高性能で、以前のようなコンパイルの待ち時間がなかったため、思ったより順調に作業ははかどった。
最初の頃は割合と快調で正月までに半分を済ませたが、後半になるにつれて次第に作業がつらくなりなかなか思ったようにははかどらなかった。
だがそれでもなんとか毎日コンスタントに少しづつでも書き上げて、3月中には予定の分量のシナリオを書き終わった。
あとは校正と、微調整の作業が残っていた。
これも随分と気が遠くなる作業だったがなんとか2003年3月30日にはリリースに漕ぎ着けた。
とは言ってもリリースしたのは「七度文庫人妻編制限版」で官能描写は省略したバージョンだ。
最初のバージョンはまだ十分満足のいく仕上がりでは無かったが、その後数回のバージョンアップを繰り返して、なんとか納得できるまでには仕上げることが出来た。
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